この冬は奇しくもジャズトランペッターを取り扱った映画が2本公開されます。そのうちの1本が「ブルーに生まれついて(原題:Born To Be Blue)」。ボーカリストとしても人気の高いチェット・ベイカーの伝記映画です。(もう一本はマイルスデイビスを扱った「マイルスアヘッド」)
11/26から順次上映開始。主演はイーサン・ホーク。監督ロバート・バドロー。
特徴的で中性的な歌声、どちらかというとトランペットよりもヴォーカルとしての人気が高いチェット・ベイカー。ジャズ好き以外のファンも多く、後年の人気・知名度では他のジャズミュージシャンよりも一つ抜きんでているような気がしますが、それはそれで彼を悩ませた点でもあり、決して幸福といえる生涯を送っていません。
ドラッグにおぼれ、悩み多き人生というのも人を惹きつける要因かも知れません。この「ブルーに生まれついて」以前にも「レッツ ゲット ロスト」というチェットベイカーを取り上げた映画がありました。なぜ、そんなに人を惹きつけるのか。
若くして憧れのチャーリー・パーカーのツアーメンバーに採用されたり、人気と名声を手に入れミュージシャンとしては絶頂期を迎えます。
しかし、チャーリーパーカーという天才に触れたことが、後の彼の人生を狂わせてしまったのかも知れません。白人だけれども黒人ミュージシャンに憧れる。当時のアメリカ社会との矛盾。後年、多くの黒人ジャズミュージシャンがそうしたようにヨーロッパに救いを求めるが彼の場合はうまくいかない。
自分ではないものを追いかけ、もがき苦しむ男の姿がそこにはある。
チェットベイカーがその若い時から「My Funny Valentain」を愛奏曲にしていたのは興味深い話だ。この唄の歌詞は要約すれば“なんでこんな不細工な男を好きになっちゃったんだろう。私って変?”っていうような内容。ジェームス・ディーンばりの甘いマスクだった若い頃から、麻薬とアルコール漬けでしわくちゃになった晩年まで、彼はこの唄を歌い続ける。
なぜこの唄を歌い続けたのか?マイルスデイビスとの確執は?モダンジャズの初期に輝いた光のかけらをわずかでも垣間見るために、ぜひ時間を作って見に行きたいのですが、上映劇場が少ない・・・。
大阪だと梅田ガーデンシネマだけか・・・
上映期間もきっと短いだろうし、早めに何とかしないといけないな。
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